8/8 夏の祖母宅はいつもサマーウォーズ

祖父母宅にいった日。暑さの盛り。

・夏に行くおばあちゃん家というのはどうしてこう「夏休み」なのだろう。コップの水滴とか暑い木の廊下とか。涼しげな格好のおばあちゃんが登場して、一気に小学生の頃がフラッシュバック。この無条件に受け入れられる感じ、家族とは違う包容力というか、受容してくれる空気みたいなものに心から安心する。ありがたい。

・「おじいちゃんが出かけて一人だから」とお昼ご飯に誘ってくれた。家にお邪魔するとなるといつももてなしてくれるので「外に食べに行く?」と聞いたら「暑いから行きません」と。正解です。少し前までは暑くても庭に出ようとするので危ないよ!と言っていたのだが、最近の暑さはそうはさせない。暑いのは危ないと浸透していて一安心。そういうことでおばあちゃんおすすめのラーメンを作ることになる。

・「あっさりしていて割にいただける」とお墨付きのラーメンを母子で茹でる。祖母は監督。座っててねと言っても落ち着かないのが働き者の性。一人のときは気兼ねなく気負わずいてほしい。ちなみに “割にいただける” というのはおばあちゃんの褒め言葉で最上級。この言い方が好きだ。

・卵をそれぞれのどんぶりに落とし、出来上がり。皆で台所を囲めるようになり嬉しい。毎度歳とって良かったなと思う。おばあちゃんの家で台所は女性の居場所。危ない忙しいで子どもは入れない。そこに加わるには信頼と腕が求められるのだ。おたまを置いて母子孫でお昼ご飯。

・ラーメンという食べ物は忙しい。のんびりしていたら減らない麺を、伸びないうちに皆で啜る。熱々を冷えた部屋で汗かきながら食べる姿がなんとも微笑ましい光景で写真が撮りたかった。「ね、割にいただけるでしょう」と自慢げなおばあちゃんが愛おしい。歳を取っても美味しくご飯が食べられることに感謝するばかりだ。

・いそいそラーメンを片付けていると祖父のご帰宅。女子の時間はここまでだ。久々スーツに身を包み、暑い中ネクタイを締めた姿はさすがの貫禄。おじいちゃんはスーツがよく似合う。母曰く、昔お祭りにもスーツで行ったせいで「お父様は議員さん?」と聞かれたらしい。未だピンとした背筋としっかりした髪は歳を感じさせず格好良い。暑い暑い言いながら「今日は特別なのを締めたよ」と水色のネクタイを外す。鏡に向かって着替えてる光景が私の小さい時と変わらなくて、自分の目線の高さだけが不思議だった。

・全員揃って話すのは昔のこと。以前食べたご飯屋さんは良かったよね、あそこなくなったんだって、息子さんが継いだらしいよなんて私の知らない話がポンポン出てくる。写真には残っていない普段の景色とか味とか今だから言えることとか。いつか今日食べたラーメンの話も良かったねと言っているんだろうか。

・夏のおばあちゃん家にずっといたい。庭でスイカ割りなんてもうできないほど暑いけれど。それでも変わらないあの空気をずっと持ったまま向かえてほしいと大人になっても思ってしまう。

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